小説むすび | 晩課

晩課

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おだやかな春の宵、マイケル神父は教会の中庭にひざまずき、ひとり静かに祈りを捧げていた。その行ないを中断させたものは、神父の背中に突き立てられたナイフだった。野獣のような怒りのみなぎる鋼が、幾度となく神父の肉体にすいこまれる。やがて庭は完全な闇につつまれた。殺されたマイケル神父は、最近たてつづけに暴力的な事件にまきこまれていた。説教の内容に腹を立てた教区民からは脅迫状まがいの手紙を送りつけられ、事件の数週間まえには、血まみれで教会にとびこんできた黒人少年を守るため、バットを手にした教区内の白人の若者たちとやりあっていた。さらに神父は、近所でおこなわれている悪魔崇拝の儀式のことでも頭を悩ませていた。神父は悪魔崇拝者の手にかかって殺されたのか?それともこれは教区民のしわざなのか?悪魔崇拝、人種差別、麻薬問題-。大都会の片隅に立つ教会で、善と悪、愛と憎悪が交錯するシリーズ問題作。

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