小説むすび | 別れない女

別れない女

別れない女

森に埋められていた女性の死体は、一糸まとわぬ姿だった。割れた額、咽にぱっくりあいた傷。いったい誰がこんな酷いことを…。被害者の身元は、地元の不動産業者の妻と判明した。発見された森で、娘の家庭教師としばしば逢引きをかさねていたという。じつは殺された晩も、ふたりは会っていた。だが、それは甘い逢瀬などではなく、別れ話のためだった。必死ですがりついてくる女を、男は思わず杖で殴りつけていた。しかし、男が認めたのはそこまでだった。泣きじゃくる女を残して、そのまま立ち去ったというのだ。弁護士のヘレンは、男がいまつきあっている女性と親しかったことから、恋人のベイリー警視の捜査と対立することになると知りつつ、自分の担当外の事件に探りをいれはじめる。静かな村にひそむ歪んだ人間関係を弁護士ヘレンが解き明かす、英国推理作家協会賞法廷ミステリ賞受賞作。

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