小説むすび | 死を選ぶ権利

死を選ぶ権利

死を選ぶ権利

私立探偵ジョン・カディは昔を思い出していた。最愛の妻が脳腫瘍にかかり、長いこと苦しみながら生死の境をさまよいつづけた日々。あのとき、安楽死という選択肢が頭に思い浮かばなかったといえば嘘になる。だが、ふたりでその件について話しあったことは一度もなかった…。今になってふたたび安楽死のことを考えるようになったのは、“死ぬ権利”を唱える法学教授メイジー・アンドラスの関係者から調査を依頼されたからだった。教授の死を予告する脅迫状が届いたので、差出人を突き止めてくれというのだ。教授は脳卒中で倒れた夫の自殺を幇助した過去があり、その体験をもとに始めた“死ぬ権利”を広める運動には、反対者が大勢いた。脅迫者はそのなかの一人なのか?それとも、内部事情に詳しいことからみて、教授の身辺の人間なのか?生と死のはざまで揺れ動く人間心理を繊細なタッチで描き、生きることの意味を問いかけた問題作。

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