疑惑(下)
状況はシェリダンに不利だった。ドンナの父親の虐待が明かされ、病院側はこれが彼女の自殺未遂の原因だと主張し、さらに彼女のカルテが忽然と消えたのだ。一方、ある病院関係者の恋人が、かつて不審死を遂げていたことが判明。病院側との攻防が激化する中、シェリダンは何者かに銃撃された。やがて、彼がつかんだ衝撃の事実は、この闘いを根底から揺るがすことに…正義を求め、苛酷な現実に挑む弁護士の姿を描く感動作。
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疑惑疑惑
現金輸送車が襲撃された。犯人に名を呼ばれたことから当然疑いをかけられた運転手は、潔白を主張した。彼は、急に病欠した同僚に代って運転手を務め、事故に遭ったのだった。度重なる取調べと周囲の冷たい目に耐え切れず、彼は独力で真犯人を追うが、そのまま失踪してしまう。夫を信じる妻も又、孤独な戦いを挑むがー。社会の谷間で傷つく弱者を描き続ける著書の書下ろし長編。 1988/06/01 発売
疑惑(上)疑惑(上)
躁鬱病で入院中の女性ドンナが五階から飛び降り、昏睡状態に陥った。彼女の家族は病院側を過失で訴え、辣腕でならすシェリダンが弁護人を引き受けた。だが、背後に有力者を擁する大病院は裁判を阻止しようと策を弄し、技術も設備も劣る病院へドンナを追いやった。怒りに震えるシェリダンは、微かだが彼女が生きる意志を示しはじめたことに勇気づけられ、闘い抜くことを誓うが…『評決』の著者が放つ、正義と信念の大作。 1999/01/31 発売
疑惑疑惑
その執拗なまでの観察眼で対象に肉迫する作家・大岡昇平の散文精神は、愛好した推理小説を実践する際にも、その威力を遺憾なく発揮した。ここに収めた初期ミステリの代表作九篇も安易な解決を望むことなく犯人を追う。海外で実際に起きた事件や題材も採り入れながら大胆に展開される。本格的な傑作選。 2009/12/20 発売