小説むすび | 心臓抜き

心臓抜き

心臓抜き

過去を持たず、空虚な存在として生まれた精神科医ジャックモール。その精神分析は、他者の欲望・願望を吸収して自己を満たすために施される…本書は、軽みとペシミズムが同居するいつもながらのヴィアン風味を保ちながらも、後者により比重のかかった著者最後の長篇小説である。ジャックモールのうつろで行き場のない姿を、発表後50年経った現在を生きる若者に重ね合わせてみるのも、決して無謀な試みとは言えないだろう。

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