ナポレオン交響曲
ベートーヴェンの交響曲〈エロイカ〉の形式にのっとって、英雄ナポレオン・ボナパルトの波瀾万丈の生涯を描き上げる-音楽と文学を合体させた壮大な実験場が、この本である。1796年の第1次イタリア遠征、ジョゼフィーヌとの結婚を幕開けに、コミカルな独裁者、凡人の悩みをかかえた皇帝ナポレオンの姿を、エジプト遠征、ロシア遠征、エルバ島およびセント・ヘレナ島配流などを通じて“文学の交響楽”の中に浮彫りにする。英文学界にそびえる巨人バージェスの、文学性豊かな笑いと諷刺にあふれた、大胆不敵な長篇。