ミクロの決死圏2
アメリカの神経物理学者アルバート・モリスンは、退屈な学会にあくびをかみ殺していた。全精力を傾注した研究は異端視され、今や出世の望みもない。だが、そんな彼を、ナターリャ・ボラノーワというソビエトの美人科学者が訪れた。彼女はいきなり、こう切り出した-「いっしょにソ連に来てほしい」と。驚きはそれだけではなかった。アメリカでは夢物語と片づけられている“物体のミクロ化”が、ソ連では国家的プロジェクトとなり、しかも実用化されつつあるらしいのだ。興味をひかれながらもソ連行きをしぶるモリスンに、追いうちがかかる。アメリカ政府もソ連の極秘研究には関心をもち、この無限の価値がある技術をモリスンに入手させたがっていたのだ。かくして、誘拐同然にソ連国内へと連行されたモリスンは、そこで想像を遥かに超える物体ミクロ化技術の全貌を、まさしく、身をもって体験させられることになった。名作SF映画から22年、巨匠アシモフが最新の科学知識を縦横に駆使し、構想も新たに放つ驚異の人体アドベンチャー。