小説むすび | 世界の終わりのサイエンス

世界の終わりのサイエンス

世界の終わりのサイエンス

何が起こったのか見当がつかない。コネチカットの海岸近くの家で妻子と平凡な暮らしを営んでいたはずなのに。金融アナリストのロックランド・プールは窓一つない小部屋に監禁され、見張りを付けられていた。その監視者によれば、かつてプールの属していた世界は無数の小世界に分裂したらしい。とてもすぐには信じられない話だが、驚くべきことに、個々の小世界は「現実の世界」の断片に似ており、「境界線」を越えて行き来することも可能という。窓のない小部屋、死者の甦る世界、入江での不思議な女との生活。境界線を越えて、プールは小世界と現実の世界との間を行き来するが、そのためにやがで危険な兆候が現われはじめる。悪夢のような小世界に迷いこんだ男の運命を描き、「現実世界」の崩壊を暗示する意欲に満ちた異色エンタテイメント。

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