鉄の翼の騎士(下)
ロークはふたたびヴェトナムに帰ってきた。今度はカイオワ偵察へリのパイロットとして、ヴェトコンや北ヴェトナム正規軍を駆りだすのが任務だ。一方、クレーブルも自分の軍歴を守るため、ヴェトナムに戻ってきていた。アメリカ軍の撤退が始まり、厭戦ムードの広まるなかで、ロークは戦場で失なったものを取れ戻すためにヘリを飛ばす。やがて、そんな彼の前に、北ヴェトナム軍の大規模な前進基地が現われた。「ヘリコプターの戦争」と呼ばれたヴェトナム戦争の様相を、自らパイロットとして従軍した著者が、手に汗握る飛行シーンをまじえて描く戦争巨篇。
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ヴェトナム戦争が泥沼の様相を呈していた1969年。ハンバーガー・ヒルにほど近いエヴァンス基地に、一人の若者が着任した。彼の名はローク准尉。ヒュイ輸送ヘリコプターのパイロットだった。戦意に燃えてヴェトナムにやってきた彼は、その翌日から戦場の苛酷な現実を見る。小さな機関銃二梃しかもたないヘリで敵の砲火のただなかに降り立つ危険な輸送任務。朝まだきの発進の胸の高鳴り。そして戦友の無意味な死。やがてロークは、前線の実情を理解しない軍上層部と、その意を体した副中隊長のクレーブル大尉の卑劣さに怒りを募らせていく。その怒りは、クレーブルが臆病さから仲間を見殺しにしたとき、ついに頂点に達した。脆弱なヘリコプターを駆り、自らの腕だけを頼りに危険な任務を遂行する一匹狼パイロットの冒険と成長を圧倒的な迫力で描破、出版前から大きな話題を呼んだ航空戦争小説の白眉。 1993/07/31 発売