影の兄弟(上)
スターリンの粛清が再び激化した1950年代初期のモスクワ。一人の女性詩人がユダヤ人迫害の嵐の中で牢獄に送られ、銃殺された。彼女は父親の違う二人の息子を遺していた。一人は、同じ詩人である最愛の夫との間に生まれたアレクサンドル。もう一人は、その夫の命を救うためやむなく結婚したKGB将校との子供、ジミトリー。二人の兄弟はKGB将校の手にゆだねられるが、その男もやがて粛清の犠牲となった。だが、その時すでに彼は、アレクサンドルをブルックリンに住む妻の姉のもとに、ジミトリーをレニングラードの孤児院に送っていた。こうして二人の兄弟は、離れ離れになり、アメリカとソ連で生きることになった。兄のアレクサンドルはアレックスと呼ばれて育てられ、自由な空気の中で、しだいにソ連への不信感をいだき、ソ連の研究家としての道を歩んでいく。一方、弟のジミトリーは、孤児院で辛酸をなめて生き延び、やがてKGBに入った。互いに求め合いながら、まったく違った道を進む二人。やがて出会いを果たした彼らに思わぬ運命が襲い、アレックスはCIAに入り、弟と遺恨に満ちた対決を繰り広げることになるが…。
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ソ連に吹き荒れたユダヤ人迫害の嵐のなか、一人の女性詩人が処刑された。彼女は二人の子供を残した。最初の夫である詩人との間に生まれたアレクサンドル。そして二度目の夫のKGB大佐を父とするジミトリー。だが、兄弟の運命は大きく分かれてしまった。アレクサンドルはアメリカの伯母のもとへ。ジミトリーは孤児院へ。東西に引き裂かれて闘うことになる宿命の兄弟を、息もつがせぬ展開と壮大なスケールで描く傑作巨篇。 1998/03/15 発売