マチルダの小さな宇宙
ぐれたい。悪いことを片っ端からやりたい。毎日がだるくて、つまんなくて、うんざりなんだもん。マチルダの姉は一年前に死んだ。線路に突き落とされて、列車に轢かれたのだ。それからずっと、両親はふさぎこんでいるだけで、家のなかは重苦しい空気で満ちている。そういう日々に苛立つマチルダは、決意した。姉を死に追いやった犯人を探し出して、両親の目を覚まそう。気が強く辛辣で繊細な少女マチルダの旅はどこへ向かうのか。そしてその旅が終わったとき、どんな風景が目の前に広がっているのかー。話題の若手劇作家で詩人の著者が鮮烈な筆致で描きだす、思春期の切ない冒険譚。2010ペンUSA文学賞受賞。