夕陽の道を北へゆけ
メキシコ・アカプルコ。書店を経営し、夫と息子と幸せに暮らすリディアの平仮な日々は、カルテルに親族16人を殺されて一変した。彼女はたったひとり生き残った息子のルカを連れて、カルテルの力の及ばないアメリカへ行くことを決意。ふたりは“野獣”と呼ばれる貨物列車の屋根に飛び乗り、出会う人々の誰が敵で誰が味方かも分からないまま、死と隣り合わせで北へと向かうー悲しみの底に突き落とされた者、明日も生きのびることを信じて逃げる者、そして理不尽な暴力に人間愛で立ち向かおうとする者たちの希望を描いたロード・ノヴェル。