ウィズ・ザ・ライツ・アウト
元・伝説のレコード店主、いまは哀愁のカウチサーファー。家賃滞納でアパルトマンを追い出された五十路の男、ヴェルノン・シュビュテックスは、輝かしき90年代に彼の店に集っていた旧友たちの家を渡り歩く。かつてはバンドマンやその取り巻きとして青春を謳歌していたが、いまは家族の問題や病、老いに直面している仲間たち。それぞれの心に、まだ音楽は響いているのか。そして、人々のあいだを転がっていくヴェルノンの行きつく先はー。ルノードー賞受賞のフランス人作家が現代フランスの市井で生きる人々をおかしみをもって描く文芸三部作、開幕。