生存者
スウェーデン、夏。湖畔のコテージ。9歳のベンヤミンは三兄弟の真ん中で、弟のピエールは7歳、兄のニルスは13歳。湖で水泳競争をしたり、白樺の森を探検したり、黄金のひとときを過ごしていたー両親の機嫌を損ねないようにしながら。そして、ある日を境にコテージを訪れることはなくなった。20年後、三兄弟は母親の骨壺を持ってコテージに戻ってくる。目を背け、沈黙に覆われてきたあの夏の真実と対峙するためにースウェーデンを代表する作家が、少年時代の「過去」と、時間に逆行して語られる「現在」を巧みに交差させて描く家族の物語。