ポストカード
2003年1月、パリ。著者アンヌの母のもとに差出人不明のポストカードが届けられた。メッセージ欄には、アンヌの祖母の両親と妹と弟の名前だけがあった。4人は1942年にアウシュヴィッツで亡くなっていた。誰が、なんのために61年の時を経てこのポストカードを投函したのか。調査を続けるうち、著者の母方の一族の知られざる過去が明らかになる。ロシア革命から逃れ、東欧やパレスチナを経てパリに安住したものの、その後ナチスにより離散したユダヤ人一家と、一人だけ生き残った祖母。なぜ祖母だけが強制収容所への移送を免れ、生き延びたのか。著者の母のもとに実際に届いたポストカードから、あるユダヤ人家族の苦難の歴史をひもとく、フランスの高校生が選ぶルノードー賞とアメリカの学生が選ぶゴンクール賞受賞の感動の長篇小説。