小説むすび | レッド・アロー

レッド・アロー

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ぼくはローマから高速鉄道“フレッチャロッサ(赤い矢)”に乗ってモデナへと向かっている。多額の借金を返済すべく、イタリア人物理学者の回顧録のゴーストライターをしていたけれど、失踪してしまった彼をさがし出すために。車中でぼくは思い出すー画家として失敗し、まぐれ当たりで作家になった日々、第二作が全く書けない苦痛、カリフォルニアでの幻覚剤療法。そして、物理学者の回顧録はこう始まるー“時間は起点と終点のある一本線ではない。さまざまな先端を持つ一本の矢なのだ”。自身も最初の詩集で高評価を受けた作家が、自信喪失の作家の苦悩をユーモアを交えながら描き出す、デビュー長篇にして傑作。

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