まだ愛している、そのことばを原罪のように孕みながら。囚われた女と、男たち。いまもっともエキサイティングな日本語の使い手による、エロスと思弁の小説集。
一流ホテルの地下のバーで宿泊客たちが酒を飲む。新婚の夫婦、兄と妹、愛人たちに囲まれる退廃的な女、物欲しげな男たち。裏の林を夜毎に若い女が歌い、徘徊する。激しくぶつかり、やがて溶け合う思弁と肉体の蠢き。三部からなる表題作と、ジャズのインプロビゼーションのように美しい中篇「ブルーノート」。 2012/10/10 発売