「音」を「香り」として感じる身体。それが、彼女が私に残したものだったー。仙台在住の直木賞作家が、3.11の後に初めて描く現代小説。
交通事故で妻を亡くし、自身も大けがを負った結果、音を聴くと香りを感じるという共感覚「嗅聴」を得た鳴瀬玲司は、ピアノの調律師を生業としている。さまざまな問題を抱えたピアノ、あるいはその持ち主と日々接しつつ、いまだに妻を忘れられずにいた鳴瀬だったが、ある日、仕事で仙台に向かうことにー。 2015/12/04 発売