Yの木
Yの形をした木に目をとめた男。彼はこの木を見て、奇妙な方法で自死した作家のことを思い出す「Yの木」。大阪で働く美しい姉と、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを訪れることを楽しみにしていた少年。しかし当日の朝、小さな事件に巻き込まれてしまう「たそがれ」。ヴェネツィアを訪れた作家。行きつけのクラブのママに頼まれた首飾りを妻と共に選ぶが、実は妻に内緒でもうひとつ、買わなければならない首飾りがあった「首飾り」。秩父宮ラグビー場の客席で、不穏な電話をしている女。彼女はラグビーの勝敗と、自らの未来を重ねあわせていた「シンビン」。表題作「Yの木」ほか、人生の重要な瞬間を描き出す短篇三作を収録。