ムーンナイト・ダイバー
ダイビングのインストラクターをつとめる舟作は、秘密の依頼者グループの命をうけて、亡父の親友である文平とともに立入禁止の海域で引き揚げを行っていた。光源は月光だけーーふたりが《光のエリア》と呼ぶ、建屋周辺地域を抜けた先の海底には「あの日」がまだそのまま残されていた。依頼者グループの会が決めたルールにそむき、直接舟作とコンタクトをとった眞部透子は、行方不明者である夫のしていた指輪を探さないでほしいと告げるのだが… 311後のフクシマを舞台に、鎮魂と生への祈りをこめた著者の新たな代表作誕生。
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震災から四年半が経った地で、深夜に海に潜り、被災者たちの遺留品を回収するダイバーがいた。男の名前は瀬奈舟作。金品が目当てではなく、大切な家族や恋人を亡くした人々のために、ボランティアに近い形で行なっている。ただし、無用なトラブルを避けるため、ダイバーと遺族が直接連絡を取り合うことは禁じられていた。 ある日、舟作の前に透子という美しい女性が現れる。彼女も遺族の一人だったが、なぜか亡くなった自分の夫の遺品を探さないでほしい、と言うーー。 フクシマの原発避難区域圏内にも入って取材し書かれた、著者の新たな代表作となる鎮魂の書。サバイバーズ・ギルト(生存者の罪悪感)についても強烈に考えさせられる問題作です。 巻末に新たな書下ろしエッセイ「失われた命への誠実な祈り」を収録。 2019/01/04 発売