マリエ
コロナ禍下、40歳を前に離婚した桐原まりえは、新たな生き方を模索し始める。直木賞作家が初めて、等身大の主人公で「今」を描く。「これから恋愛できるわね」、年かさのかっこいいマキさんはそう言うが、まりえはすべて自分の自由にできる生活が一番大事でそれを危うくする欲望に呑み込まれたくはない。でも、なにか不安で、なにか取りこぼしている気がする…。そんな折、些細なきっかけと少しの興味から、まりえは結婚相談所に登録する。そこで見聞きする世界は、思いもよらないものだった。切実な「現実」や結婚に対する価値観を次々と突きつけられ、年下の恋人とのあいだでも揺れながら、まりえは考え続ける。