播磨国妖綺譚 伊佐々王の記
舞台は室町、播磨の国。
律秀・呂秀の兄弟は、庶民を相手に、病者を診て、薬を方じ、祈禱によって物の怪や禍を退ける法師陰陽師である。
彼らはある日、地元の農民から相談を受ける。曰く、「川で砂鉄を拾っていると、皆が一斉に転ばされるのです」。
兄弟が川へ入ると、向こう岸に見えたのは怒れる坊主たちの姿だった……⁉
徐々に明らかになるのは、裏で糸を引く「蒲生醍醐」なるはぐれ陰陽師の存在。
彼は人間に恨みを持つ山河の生き物に術をかけ、人間たちを襲わせていたのだ。
さらに、播磨国に伝わる巨鹿の妖怪・伊佐々王を復活させ、さらなる大混乱を起こそうとしていたーー。
蒲生醍醐の正体とは? そして、式神・あきつ鬼の前世とは何なのか?