龍陵会戦
戦争は私から何を奪ったのだろう。軍隊に入り、私は屈辱を受けることに鈍感になり、たちまち誇りを失った。下級兵士は無意味な死を覚悟することに馴れ、それではあまりにみじめだから、お国のためだと自分に言いきかせる。兵士は死シテ神トナルなどと本当に考えていたのか?戦争を日常として生きた人間の貴重な文章である。
関連小説
龍陵会戦龍陵会戦
「勇兵団」生き残りの声をありのままに綴る。仙台に本拠を置く陸軍第二師団「勇兵団」の一兵卒として南洋に送られた著者は、旧ビルマと中国の国境で、雲南遠征軍を相手に苦戦を強いられている龍陵守備隊を救出する任務に就く。しかし圧倒的な物量の差はいかんともしがたく、上官、同僚が次々と亡くなり、負傷していった。-挙国一致だと。糞食らえだ。尽忠報国だと。糞食らえだ。…気力なし、体力なし、プライドなし、自信なし、希望なし。…私は、もう、なにがどうでもいいような気持になっていたのだ。-その絶望的な戦いをともに経験した勇兵団の生き残りを中心に、丹念に取材を続けてまとめられた一冊。相手は饒舌ではない東北人だが、それだけに一層言葉に重みが感じられる。古山高麗雄の戦争三部作のうち、『断作戦』に続く第二作。 2024/07/11 発売