若冲
京は錦高倉市場の青物問屋枡源の主・源左衛門ー伊藤若冲は、妻を亡くしてからひたすら絵に打ち込み、やがて独自の境地を極めた。若冲を姉の仇と憎み、贋作を描き続ける義弟・弁蔵との確執や、池大雅、与謝蕪村、円山応挙、谷文晁らとの交流、また当時の政治的背景から若冲の画業の秘密に迫る入魂の時代長篇。
関連小説
若冲若冲
奇才の画家・若冲が生涯挑んだものとはーー 今年、生誕300年を迎え、益々注目される画人・伊藤若冲。緻密すぎる構図や大胆な題材、新たな手法で周囲を圧倒した天才は、いったい何ゆえにあれほど鮮麗で、奇抜な構図の作品を世に送り出したのか? デビュー作でいきなり中山義秀賞、次作で新田次郎賞を射止めた注目の作者・澤田瞳子は、そのバックグラウンドを残された作品と史実から丁寧に読み解いていく。 底知れぬ悩みと姿を見せぬ永遠の好敵手ーー当時の京の都の様子や、池大雅、円山応挙、与謝蕪村、谷文晁、市川君圭ら同時代に活躍した画師たちの生き様も交えつつ、次々に作品を生み出していった唯一無二の画師の生涯を徹底して描いた、芸術小説の白眉といえる傑作だ。 2015/04/22 発売