血脈 下
紅緑を看取り、シナは過ぎ去った四十年を思う。夫と別れた愛子に、小説を書くことを勧めたのはシナだった。ヒロポン中毒の八郎の家で繰り返される、佐藤家の因縁。愛子は再婚するも夫の会社が倒産し、多額の借金を背負う。シナが世を去り、八郎が急死。佐藤家を焼き尽くす因縁の炎の行方を見据えるのは、残された愛子であった。
関連小説
血脈血脈
直心影流の継承者を決める大仕合から四年。三田に剣術道場を構える峡竜蔵は幼馴染である綾を妻に迎え、その翌年には長男・鹿之助を授かっていた。順調に門弟も増え、賑わいを見せる峡道場。そんなある日、綾は、竜蔵が幼い頃から生活の面倒をみてきた内弟子・雷太の様子にどこか翳りがあることに気づく。いつもは明るく道場の人気者、雷太の変化の理由とは…。夫となり父となっても己が剣の道を生きる峡竜蔵が、今度は信愛する弟子たちを厳しく温かく育てていくー。大好評「剣客太平記」シリーズ、新たなる始動。 2015/02/14 発売
血脈 上血脈 上
物語は大正四年、人気作家・佐藤紅緑が妻子を捨て、新進女優の横田シナを狂おしく愛したことに始まる。父親への屈折した思いを胸に、散り散りになる八郎、節、弥、久の四人の息子たち。シナのつれなさに苦悩する紅緑が半ば別れを覚悟した矢先、シナの妊娠が判明。大正十二年、愛子の誕生で、二人は離れられぬ宿命を受け入れる。 2017/12/05 発売