浮遊霊ブラジル
川端康成文学賞受賞作「給水塔と亀」収録、紫式部文学賞受賞の短編集。
筆者の卓越したユーモアと、人間観察力がいかんなく発揮された数々の短編をおさめた本作は、物語を読む楽しみを存分に味わえる充実の一冊。
楽しみにしていた初の海外旅行を前に亡くなってしまった主人公は、人に憑くスキルを手に入れ、体を乗り換えて、様々な土地を旅していくが、なぜかブラジルにたどりつき……表題作「浮遊霊ブラジル」
ドラマは毎日三本、小説は月に十冊。サッカーやツール・ド・フランスから人生相談まで、生前、虚実の物語をさんざん食い散らした「私」が落ちたのは「物語消費しすぎ地獄」。そこで課せられる世にも恐ろしい試練とは?--「地獄」
どんな土地勘のない場所でも最悪のシチュエーションでも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?--「運命」
定年を迎え、海と製麺所のある故郷に帰った男。クロスバイクを手に入れ、亀を預かり、静謐で新しい人生が始まる。--「給水塔と亀」(2013年川端康成文学賞受賞作)
【収録作】
「給水塔と亀」(「文學界」2012年3月号)
「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」(「文學界」2010年2月号)
「アイトール・ベラスコの新しい妻」(「新潮」2013年1月号)
「地獄」(「文學界」2014年2月号)
「運命」(「新潮」2014年6月号)
「個性」(「すばる」2014年9月号)
「浮遊霊ブラジル」(「文學界」2016年6月号)