駿河遊侠伝(上)
本名山本長五郎、清水港は米屋の伜次郎。遊侠の世界に足を踏み入れ家業を捨てる。天稟のいかさま骰子の腕で各所で賭場荒しをくり返すが、なぜか次郎を見こんだ駿府安東の大親分文吉の目こぼしで助けられる。いつも素寒貧、冬に褌一本で暮らすのもたびだびだが、いつの間にか次郎の周りには人の垣ができている。大政、金次、常…。巷間、“海道一の親分”と謳われた清水の次郎長実録一代記長篇。
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見栄とやせ我慢が遊侠の徒の本領とばかり、草鞋を脱ぐ旅人には酒と飯、おまけに小遣いまで持たせてやる次郎長、内証は苦しい。清水に腰を落ち着けたとはいえ、本人は年中の逃避行、ついには敵方伊豆の金平が黒革おどしの鎧を着け、次郎長を捜して清水中を威嚇して回る始末、喧嘩っ早さが災いして、ろくに縄張の拡張も計れない。古老達の語りを丹念に集め、次郎長の実像に迫る次郎長実録一代記長篇。 1988/06/01 発売