駿河遊侠伝(下)
不倶載天の敵黒駒の勝蔵が縄張を捨てた。子分を率いて京へ上り、公卿侍になったという。幕末の激流は遊侠の世界をも洗い始めた。だが次郎長は、愚直なまでに変わらない。かせぎ場の少ない次郎長の台所は火の車、喧嘩を構える毎に借金がかさんだ。世は明治となり、官軍の命で海道の取締りにあたるがやがて辞退、晩年は訪れる旅人を門口に待ちこがれる日々だったという。次郎長実録一代記完結篇。
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本名山本長五郎、清水港は米屋の伜次郎。遊侠の世界に足を踏み入れ家業を捨てる。天稟のいかさま骰子の腕で各所で賭場荒しをくり返すが、なぜか次郎を見こんだ駿府安東の大親分文吉の目こぼしで助けられる。いつも素寒貧、冬に褌一本で暮らすのもたびだびだが、いつの間にか次郎の周りには人の垣ができている。大政、金次、常…。巷間、“海道一の親分”と謳われた清水の次郎長実録一代記長篇。 1988/06/01 発売