秋萩の散る
阿倍女帝こと孝謙天皇に寵愛され、太政大臣禅師や法王などの高職に就いていた頃の面影は、もはやない。女帝の死後すぐに下野国薬師寺別当に任ぜられた道鏡は、空ばかり見て過ごしていた。そこに行信と名乗る老僧が近づき「憎い相手はおらぬかー」と囁く。そう問いかけられたとき、道鏡の心に浮かんだ顔は…。奈良時代、治世の安寧を願った人々の生き様を描いた珠玉の短篇集。
阿倍女帝こと孝謙天皇に寵愛され、太政大臣禅師や法王などの高職に就いていた頃の面影は、もはやない。女帝の死後すぐに下野国薬師寺別当に任ぜられた道鏡は、空ばかり見て過ごしていた。そこに行信と名乗る老僧が近づき「憎い相手はおらぬかー」と囁く。そう問いかけられたとき、道鏡の心に浮かんだ顔は…。奈良時代、治世の安寧を願った人々の生き様を描いた珠玉の短篇集。