雪と氷に閉ざされた僻村に隠遁する老画家の調査をひそかに依頼された若き研修医の戦慄と絶望の27日間ーすべてが底なき深みへ崩れおちて凍りつく。世界文学の極北をきわめたトーマス・ベルンハルトの比類なき傑作。
極限のクライミングを描く、究極の筆致。『檀』から十年、最新長編作品。最強の呼び声高いクライマー・山野井夫妻が挑んだ、ヒマラヤの高峰・ギャチュンカン。雪崩による「一瞬の魔」は、美しい氷壁を死の壁に変えた。宙吊りになった妻の頭上で、生きて帰るために迫られた後戻りできない選択とはー。フィクション・ノンフィクションの枠を超え、圧倒的存在感で屹立する、ある登山の物語。 2005/09/30 発売