長崎のアヘン窟を舞台にした探偵小説「指紋」。不可思議なドッペルゲンガー譚「奇妙な小話」。ナンセンス童話劇「楽しき夏の夜」。他「黄昏の殺人」「月かげ」「薔薇を恋する話」「形影問答」等の9篇。
谷崎潤一郎とともに探偵小説のジャンルも開拓し、のちに文壇の重鎮的存在となった佐藤春夫の、幻想美溢れる作品世界。初期の代表作「西班牙犬の家」、探偵小説の先駆けとなり谷崎が絶賛した「指紋」、新しい方法意識で小説世界の幅を広げた未来都市小説「のんしゃらん記録」の他「女人焚死」「女誡扇奇譚」など、幻想・耽美的作品を収録。また評論として「探偵小説評論」「探偵小説と芸術味」も収録。 2002/05/08 発売