方丈平家物語
京都日野にある某寺の、長年、開かずの扉と言われた土蔵から古文書、伝鴨長明作「方丈平家物語」が発見された。繙いてみれば、どうやら鴨長明による自伝のようである。長明が、ツイていないが無常観一色でもない小さな彩りの日々、運命の残酷に翻弄される自らの人生と、平家一族の栄枯盛衰、源氏の台頭といった同時代を重ね合わせ、起こったこと、見たことをつぶさに記録している。まさに記録する男・鴨長明の面目躍如を果たしたこの書は、本物か、それとも偽書かー。「女囚さそり」「誘拐報道」「花いちもんめ」「プライド」「日本独立」など数々の名作を世に送り出した日本映画の鬼才による、精緻で濃密な書き下ろし傑作歴史小説。