走れ!東京タワー
就職して6年、広告代理店で残業とプレッシャーに疲れ切っていたさくらには、唯一自分を取り戻せる場所があった。芝公園にあるプリンセスホテルの2811号室。窓一面に広がる巨大な東京タワーを眺めながら、ここで七央さんのマッサージを受けるのだ。初めてこの部屋に足を踏み入れた日、さくらは東京タワーの堂々たる姿に自分が恥ずかしくなり、涙が止まらなかった。仕事を続けられたのは、何度もこの部屋の彼女(東京タワー)の前で悔し涙を流したからだ。7年目、ついに会社を辞めたさくらは、自分の未来に悩みつつもプリンセスホテルでの時間を守っていた。そんなとき、七央が飼っている18歳の老猫すずこが行方不明に!焦る七央と失業中のさくら、さらにさくらの同級生の千夏、舞。自分が一番大切にしているものはなんなんだろう?どうすれば自分らしく生きていけるのだろう?そんな悩みを抱えながら、彼らは全力で駆け回る。