夜明けのクロニクル
過去は終わらない。物語は、続いていく。
古代ローマ史を専攻する大学4年生の浅野美穂は、卒論を何度も突き返され行き詰まっていた。ある日、大学近くの隠れ家で父たちが学生時代に発行した同人誌を発見する。剣闘士ルキウスの物語と1990年代の学生運動を描いた戯曲ーー父たちの青春の記録に触れるうち、美穂はあることに気づく。誰も書かなかった「本当の結末」を、自分が紡ぐことができるのだと。受け継いだ過去に自分なりの答えを求め、美穂は新たな轍を刻み始めるーー
はじめに
第一章 古代ローマ
『檻の中のマルシア』
第二章 学生運動
『断章』
第三章 混沌
第四章 本当の結末