小説むすび | 空虚成分

空虚成分

空虚成分

出版社

幻冬舎

発売日

2020年11月2日 発売

メロウでポップなひめるワールド。一風変わった不器用な人々のあったかくて切ない人間模様を描く珠玉の短編集。洋一は、岳也のことをくしゃみさんと呼んでいる。というのも、岳也が行く先々で人のくしゃみをこっそり録音しているからだ。(「くしゃみとルービックキューブ」)ドーナツの穴の空虚成分を発見した空間数理学者、飯野渉さん、老衰で死去、97歳。あるとき新聞でそんな見出しを見つけたのだ。今でも覚えている。見出しの横にはドーナツの写真があった。ドーナツの真ん中の空洞部分に、細かい字で手書きらしいアルファベットの図式が書かれてあった。(「空虚成分」)

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP