げんじん
虚像と実像。「ありのままの自分」とは何か。
人間関係全般に仮面をかぶり、自分を偽ることでうまく生きてきた青年。
体で繋がっても、感情を殺した関係には、いつも綻びが生じていくーー。
リアルな日常描写から、人間の本質を見出す問題作。
高校生の悠は、人に合わせ、器用に生きてきた。友人とは距離があるが、代わりに彼女・宮がいた。穏やかに2年付き合ってきたが、高校3年になり進路が分かれることに。別れを切り出した悠を、「裏切り者。ずっと離れないって言ったのに。私の数年返せよ‼」と宮は泣きながら罵り激高した。そんな宮をみても、悠が感じたのは本心を明け透けに他人に伝えることへの違和感だけだった。
宮と別れ東京に出た悠は、灯里と出会い同棲を始める。同じ家に帰り、セックスをして、初めてすべてを曝け出せる相手だと感じ始めていた。が、”ちゃんと灯里にあわせてきたはず”なのに関係は続かない。
ある日、悠は見知らぬ老女と出会う。老女との交流、その後に訪れる衝撃の真実と偶然により、それまでかぶってきた「仮面」が壊され、本当の自分「げんじん」を見出していくーー。
・偽者
・宮
・灯里
・ちあき