カスバの女
独立から13年が経過した1975年。フランスの影響から脱却し、自力での経済発展を図るアルジェリアにとって、領土の84%を占め、豊富な石油が埋蔵されるサハラ砂漠を通じた輸送ルートは生命線となる。しかし、ソフトサンド地帯での長距離走行に堪えうるフランス製タイヤ「サハラX」に頼らざるを得ないというジレンマを抱えていた。そこに日本製タイヤの商機を見出した七洋商事とニホンタイヤは、精鋭チームをアルジェリアに派遣する。国際入札に向けた駆け引きが続く中、旧市街カスバの一角にたたずむカフェバーで、七洋商事の井原はパリで知り合った幸と思いがけない再会を果たす。一方、確実と思われていたニホンタイヤの落札が“ゼロ”という衝撃的な知らせが舞い込みー。二転三転する展開に息もつかせぬ国際派ビジネス小説第3弾。