風に舞う灰(第1部・上)
1863年、南北戦争のさなかのアメリカ。南部の由緒正しき家に生まれたアライナは、17歳にしてこの世の地獄をすべて見尽くしたかのようだった。戦禍で両親と兄を亡くしたばかりか、スパイの烙印を押され、北軍に猛獣狩りさながらに追われる身となってしまったのだ。彼女は愛する故郷バトン・ルージュに別れを告げ、少年の姿に身を変えて伯父の住むニューオーリンズへと向かう-。さらに苛酷な試練が待っているとも知らずに。港に着いたとたん新たな苦境に陥ったアライナを浮浪少年と信じて救ったのは、憎むべきヤンキーの大尉コール・ラティマーだった…。南北戦争を背景に、喜び、悲しみ、そして愛を壮大に描く、ウッディウィスの大河長編。
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アライナの従姉ロバータの術中に陥り、ロバータを妻にしたコールだったが、そんな結婚生活が幸せであろうはずはなかった。一方、アライナは、娼婦のふりをしてコールと愛し合ってしまったという、あまりにも重い秘密を独り胸に抱きながら、自分が本当は女性であるということさえ告げられずにいた。ある夜、舞踏会に出かけたロバータの部屋を片付けていたアライナは、たくさんの豪華なドレスを前にして、思わず“少年アル”でいることを忘れてしまう。そこへ突然、コールが帰ってきた。透げ場もなく、ついに正体を見破られてしまった彼女は、行く当てもなくクレイグヒュー家を飛び出す…。 1993/01/31 発売