関ケ原の一戦に二股かけた謀将鍋島直茂の心底に秘められていたものは何か?直茂の苦衷とその晩年を描く表題作をはじめ、武士の意地と哀しみを鮮烈に綴る珠玉の時代小説集。
肥前佐賀の大名、鍋島直茂は関ヶ原の合戦で二股をかけた。初め西軍についた直茂は、家康の勝利を確信するや、豊臣方の立花宗茂を隣国・柳川城に攻め、領地安泰をはかったのである。その直茂が自らの墓碑に豊臣家への忠誠を表す「豊臣朝臣」の文字を刻んだ真意とは…。表題作「権謀の裏」をはじめ、武士の激しく哀しい生きざまと、内に秘められた思いを峻烈に描いた秀作10編を収録。 1992/02/01 発売