紺青の航空軍団(3)
駿河湾沖海戦で、アメリカ艦隊を撃破した藤原ら日本の自衛軍だが、双方の被害は甚大であった。さらにアメリカ側の巧みな情報操作で日本国内の世論は、自衛隊に対する非難も強まっていた。そうした四面楚歌の中で、藤原たちはアメリカ側の反撃を確信しつつ、新鋭戦闘機ランをスクランブル待機させていた。やがてアメリカは、状況打波のために、遂に核ミサイルを使うという噂が流れ出した。日米間は最悪の状況を迎え始める-。
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紺青の航空軍団紺青の航空軍団
急降下から一転して、機体は上昇を始めた。「ラン」の細身のボディが捩れ、主翼やコクピット周りのフレームが軋んだ。暗視モニターに、チラリと相手機体の下面が映った。最新鋭の「スーパースター」だ。藤原は「スーパースター」の逃げるコースを予測して、上昇から水平に、そして右旋回と「ラン」の機体を思うがままに操った。ローリング・シザースで振り切ろうとする「スーパースター」を冷静に追いつめて行く。藤原はトリガーを引いた。青白い曳光弾が空間に弧を描く…。 1994/01/25 発売