マキカのオデッセイ
小説を“家”に喩えれば、この物語は家を美術作品で飾った“文学の家”です。ある経緯から花にされたマキカは惑星で井戸の管理人・ヒーローの世話を受けますが、突然ヒーローが旅に出てしまい、花は枯れ、花のチリは宇宙空間を漂い、地球に到達して花として蘇り、一本脚のマキカはインドをスリービートで跳ねて歩き、つらい旅路で心も体も揺れながら不思議な声に導かれて旅を続け、煙の中から人間マキカが現われ、戦争の砲火と軍靴の音の中から英雄が生れたように、マキカには救世主の期待がかかります。マキカはヒーローの正体を見破り天国から幸せのしずくを地上に落としてくれるようにねだります。この物語は地獄のような戦場やつらい社会の上にヒーローが落としてくれた幸せのしずくかもしれません。花通信によってバスルームに描いた絵で綴った物語全十五話。