小説むすび | 2022年8月発売

2022年8月発売

断頭台に消えた伝説の悪女、二度目の人生ではガリ勉地味眼鏡になって平穏を望む断頭台に消えた伝説の悪女、二度目の人生ではガリ勉地味眼鏡になって平穏を望む

王妃レティシアは断頭台にて処刑された。 恋人に夢中の夫を振り向かせるために、様々な悪事を働いてーー 結果として、最低の悪女だと謗られる存在になったから。 しかし死んだと思ったはずが何故か時を遡り、二度目の人生が始まった。 「今度の人生では恋なんてしない。ガリ勉地味眼鏡になって平穏に生きていく!」 一度目の時は遊び呆けていた学園生活も、今回は勉強に費やすことに。 そんなある日のこと、レティシアはとある男子生徒との出会いを果たす。 彼の名はカミロ・セルバンテス。のちに竜騎士となる予定の学園のスーパースターだ。 前世では仲が良かったけれど、今度の人生では底辺女と人気者。 当然関わりなんてあるはずがない。 それなのに色々あって彼に魔法を教わることになったのだが、 練習の最中に眼鏡がずれて素顔を見られてしまう。 そして何故か始まる怒涛の溺愛! 囲い込み! え? 私の素顔を見て一度目の人生の記憶を取り戻した? 「ずっと君のことが好きだった」って……本気なの!?

アイダホアイダホ

記憶は消えても悲しみは消えない  アイダホの山中に住む音楽教師アンは、夫ウエイドのかつての家族のことを何年も思い続けている。9年前、一家が薪を取りに出かけた山で、ウエイドの前妻ジェニーが末娘メイを手にかけ、上の娘ジューンはその瞬間を目撃、ショックで森に逃げこみ失踪した。長女の行方を必死に捜し続けてきたのに、最近のウエイドは若年性認知症の影響で、事件のことも娘がいたこともわからないときがある。ジェニーは、罰を受けること以外、何も望まず誰とも交わらずに服役してきたが、新たな同房者とあることを機にぎごちないやりとりが始まる。アンは夫のいまだ癒えぬ心に寄り添いたいと願い、事件に立ち入ることを躊躇いながらも、一家の名残をたどり、断片を繋ぎ合わせていく……。  凄惨な事件を核としながら、本書が目を凝らすのは事件そのものではなく、人々の心の動き。人の心の襞をひとつずつそっとめくるように静かに物語は進む。また、厳しく美しいアイダホの大自然の描写も魅力的で、もうひとつの主人公ともいえる。  日常が一瞬で打ち砕かれる儚さ、愛よりも深い絆、贖罪を、静謐な筆致で鋭く繊細に描く珠玉のデビュー長篇。2019年度国際ダブリン文学賞受賞作。

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