認知症の夫を看取って
認知症の夫ハルは、重症肺炎で地域の急性期指定病院 ICUに入院した。
その後治療の甲斐があり危機的状況を脱して、食事と離床リハビリが開始された。
面会は厳格な感染対策のもと、週2回、一五分間だけしか許されていない。だから夫の病状把握はままならず、病院スタッフにお任せするしかなかった。
妻の久代は、面会のたび意識レベルが低下していくのは、抗精神病薬や鎮静剤の過剰投与ではないかと疑っていた。
三週間後、肺炎が完治したと告げられ予定していた介護施設に転院することになった時、介護施設から予期せね残酷なことを言われて疑問と不信と不安は増大した。
転院先を変更して不安な日々を過ごしていると、主治医から誤嚥性肺炎を併発したと言われ、突然見取りの宣告を受けた。
その後ハルの容態は悪化の一途を辿り、最終的に自宅看取りをした。
久代にはハルさんは何故死ななければならなかったのかという疑問がある。
それを解決するためカルテ開示を申請した。結果、家族も知らなかった数々の情報や裏取引が満載されており驚愕するばかりだった。
認知症患者の人権と尊厳は誰が守るのか。
医療とは慈愛の心を持って究極、命を守ることではないのか。
久代は社会に対してこう問い掛けたい思いで一杯になった。