人間狩り
「絶対的悪夢の戦慄すべき象徴化」と評されるディック初期の短篇作品群は、著者自らが語るように、後の長篇代表作の原型となるものである。廃墟を徘徊するミュータントの群れ、物質の奇襲される人間の恐怖、極限的なパラノイア状況など、ディック・ワールドの中核をなす自己と現実の崩壊の物語を中心とした選り抜き12篇に、本邦初訳、子供とロボットの交感とその悲劇的な結末を描いた「ナニー」を加えた傑作短篇集。
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人間狩り人間狩り
14歳の少年が少女を殺害、眼球を少女の親に送りつけた、20年前の女児殺害事件。その犯行映像が突如、闇オークションに出品された。当時の捜査関係者なら犯行映像を持ち出せたはずー人事第一課監察係の白石は捜査を開始する。カード会社で督促の仕事をする江梨子は、1本のクレーム電話をきっかけに、ある男の悪行をネットに晒した。動画は警察が動くほど話題となり、かつてない満足感を覚えた江梨子は、悪人を“炎上”させ懲らしめる“自警団”サイトにのめり込んでいく。“自警団”でも積極的に活動する少年・龍馬と、サイト管理人の弥生と親しくなった江梨子。3人は、次の獲物を決める。近頃、犯行映像流出騒動で話題の元少年Aだ。龍馬の活躍で元少年Aの素性を突き止めるも、事態は思わぬ方向へと転がっていき…。第38回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作 2018/10/12 発売