神聖喜劇(第1巻)
日本第1の要塞島対馬に、補充兵役入隊兵数百人が上陸したのは、1942年1月のこと。「すでにして世界は真剣に生きるに値しない」と思い定めているニヒリスト東堂二等兵もその中の一人である。厳寒の屯営内で過酷な新兵“教育”が始まる。と同時に稀代の記憶力を駆使した二等兵の壮大な闘いも開始される。戦後日本が生んだ桁はずれに大きい“笑い”の文学巨篇登場。
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東堂太郎の回想する女性との濃密な交情、日常的に交わされる珍妙な「金玉問答」や「普通名刺論議」…。内務班の奇怪な生活の時は流れる。そして、しのび寄る忌わしい“事件”の予兆。「私は“あるかすかな予感のような物”を見極めるためにも戦争に出かけようとしているのかも知れない…」。 1991/12/01 発売
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「私の内面には、曖昧な不安が、だんだん増大しつつ定着していた。早晩必ず何事か異変が起こるにちがいない…。あたかもわれわれの前途に出現するべき禍禍しい何物かの確実な前触れとして…。」東堂太郎の抱く不安が内務班全体にも広がりはじめた頃を見はからうかのように、ついに“大事”が発生した。そして、その渦中に登場する冬木二等兵の謎めいた前身…。 1992/01/01 発売
神聖喜劇(第4巻)神聖喜劇(第4巻)
入営して、やがて3ヶ月目に入る。上官上級者によって仕掛けられる無理難題、“思想上の嫌疑”に対する東堂太郎の精妙かつ尖鋭な“合法闘争”はつづくー。「こういうことに血眼になっても、それにどんな意味があるのか、あり得るのか」懐疑に陥りながらも…。しかし一方、奇怪な「剣〓(けんざや)事件」の犯人と目されて窮地に立つ冬木二等兵救済のために「精一杯抗うべく」決意を固める。 1992/02/01 発売