小説むすび | 夢遊の人々(上)

夢遊の人々(上)

夢遊の人々(上)

偉大な作家たちは、時代に深く沈潜、その時代の「精神」を捕捉し、作品に封じ込めようと格闘してきた。20世紀前半、その努力は頂点に達し、巨大な作品が群生、雄大な山脈となって現れたのだった。仏語圏のプルーストしかり、英語圏のジョイスしかり…。そして独語圏にも驚異的な膂力を持った作家が現れたー名はヘルマン・ブロッホ。ヒトラー登場へと続く時代の危機を、その淵源にまで遡り省察。本書は、その独創的な省察、「価値崩壊」論を背景に、時代風俗の中で“夢遊”する人々を活写する。雄大な構想、精緻な分析、斬新な描写手法は、圧倒的だ。読者は究極、「時代精神」の確かな彫像を見ることだろう。「全体小説」を唱えた巨匠の一大金字塔。

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