滑らかな虹<下>
五年三組の担任教師・柿埼の提案した『ニンテイ』ゲームはクラスの子どもたちの心を捉え、学校生活にかかせないレクリエーションとして順調に機能しているように見えた。引っ込み思案で『ニンテイ』を忌避していた百音も、親友となった香住の励ましを得て、夏休みの自然教室や秋の運動会を乗り越え、クラスメイトとの距離を縮めて徐々に自分の世界を広げてゆく。この穏やかな日々が続くと、みな思っていた。ただ、「彼ら」を除いては。百音は思い返す。最後の“ゲーム”が行われたあの日、夜の校舎で何が起きたかを。圧倒的な筆力で描ききった渾身の千二百枚。
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柿埼先生に、手紙を書こうと思うー中学三年になる春、山坂百音は、かつて通っていた小学校の元教員・田児あやめに伝えた。そして百音は、三年半前に起きたできごとについて、五年三組の担任教師だった柿埼に向けて思い出を綴ってゆく。すべては、彼の謎めいた提案から始まったのだ。「どうでしょう。今年一年、このクラスのみんなでゲームをしませんか?」『ニンテイ』と名づけられた、柿埼の考案した奇妙なゲームが、子どもたちの未来を大きく左右する事を、このときは誰も予想していなかったー『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』で衝撃のデビューを果たした新鋭が贈る、入魂の長編ミステリ。 2017/08/31 発売