ネクロスコープ 上
1971年、ソビエト連邦の首都モスクワ。超常諜報戦術開発局に所属するボリス・ドラゴサニはある施設で、機関の長ボロウィッツの命令により、裏切り者の死体に特殊な“能力”を用いようとしていた。一方、英国の炭鉱町に生まれた夢見がちな少年ハリー・キーオウは、ある日を境に突如として数学の才を発揮するようになる。二人にはある共通点があったーーそれは死者、あるいは死体の記憶や能力を自らのものとして活用するという、類い稀且つ恐るべき異能だった! 冷戦下のソ連と英国の間で巻き起こる霊的諜報戦を描いた、〈タイタス・クロウ・サーガ〉の著者を代表する一大伝奇ホラー!
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死体そのものから情報や記憶を奪取する死骸検術(ネクロマンシー)を扱うソ連の特殊工作員ドラゴサニは、更なる力を手にするため祖国ルーマニアへ赴き、異形の存在から吸血鬼族(ヴァムフィアリ)の秘密を探り出そうと目論む。そしてイギリスでは、死者の魂と交流することでその能力を身に宿す死霊見師(ネクロスコープ)として覚醒したキーオウが、若くして死んだ母の霊からその死の真相を聞き出し、己の能力を用いて復讐を遂げる決意を固めていた。それぞれの野心と悲願は、やがて英国やソ連の超常能力を用いた情報戦の局面を大きく左右するまでに膨らんでゆく。巨匠ラムレイ渾身の傑作。 2019/05/31 発売