小説むすび | 母の舌

母の舌

母の舌

「移民文学の母」と称されるトルコ出身ドイツ語作家の短篇集、初の邦訳!二〇二二年ビューヒナー賞受賞記念講演も収録。「母の舌」:トルコ人女性である「わたし」は、祖国の政治的混乱から逃れ、ドイツのベルリンで暮らしている。祖国での母との対話や祖母の姿、覚えている単語、友人が殺された記憶などを回想しつつ「わたし」は、どの瞬間に母の舌をなくしたのか、繰り返し自問する。そして母語を取り戻すために、祖父の言葉であるアラビア語を学ぼうと決心する。「祖父の舌」:「わたし」は失われた母語の手がかりを求め、ベルリンのアラビア書道の偉大な師、イブニ・アブドゥラーの門をたたく。指導を受けるうちに互いに愛しあい、「わたし」はイブニ・アブドゥラーの魂を身内に宿すと、アラビア文字たちは「わたし」の身体の中に眠りこんだ獣たちを目覚めさせた…。

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