ポリー氏の人生
アルフレッド・ポリーは貧しい商店主の家に生まれ、服地商の徒弟になる。父の遺産で自分の店を開いたものの倒産寸前。高嶺の花の少女にふられた反動で結婚した従妹の妻との仲もうまくいかず、ある決心をするー自宅に火を放って剃刀自殺をし、生命保険と火災保険を妻に遺して不毛な人生に幕を下ろすのだ、と。一九一〇年に発表された、ウェルズ中年期のコミック・ノヴェル。「SFの父」が自身の若き日を投影し、下層中産階級の苦悩をコミカルかつ哀切に描く。作家自ら、最愛の作品と認める自伝的長篇。人生の「おぞましい穴ぼこ」に嵌まり込んだ男の起死回生の物語。本邦初訳!